お気に入りのお洋服にシミ! 自分でなんとかしたい! あるあるですよね😅
クリーニング店で働いていた時、よくこんな相談をされました。
「自宅でシミ抜きしたらこんなになってしまった…なんとかして欲しい😭」
正直クリーニング店員側の率直な感想は…
「何もせずに持ってきてくれたら解決できたのに…!!」です(笑)
今回はクリーニング店で働いてきたからこそわかる、家庭でやりがちなシミ抜き失敗例と、何故ダメなのか?どうしたらいいのか?を簡単にご紹介していこうと思います☺️
実際経験した事からお話しますね👔
そもそもシミってどんなものなのか?
一概に【シミ】といってもいろいろな物がありますよね?
- 食べこぼし
- 汗ジミ
- 血液
- インク
- ドロ汚れ
- 化粧品
などなど…あげだしたらキリがありませんが、一般的に多いのは食べこぼしと汗ジミ、ドロ汚れあたりかと思います。
実際クリーニングの受付では【食べこぼし】【汗ジミ】が非常に多かったです。 あと、Yシャツのポケットのインクシミ(泣)
ただどのシミも言える事は、外的な要因が衣類に付着し、衣類の色が変わってしまっている状態である事。
すんごく簡単に言うと「汚れが衣類に結合したもの」って感じです。
そしてシミには構成というものがあったりします。 これを知っている知らないではシミ抜きの技術に雲泥の差が出ます。
が、ここは詳しく話していくととんでもなく長くなってしまうので、こちらはまた別の機会にお話ししようと思います。
シミとは、汚れが衣類に結合して変色した物!
実際にあったトラブル例
【塩素系漂白による脱色】
「白のパーカーに食べこぼしたから、部分的にキッチンハイターでシミ抜きしたらまだらになった」
これ、実際にあったお客様からのトラブルです。 白だから漂白しても綺麗になるし問題ない。 そう思われる方が多いかとおもいますが…ここであの有名なセリフをどうぞ。

はい、そうなんです。白って一概にいってもとんでもない量の白色があります(笑) そして更に問題なのが、【紫外線による変色】をしている可能性もあるということ。
同じ商品でも、着用洗濯した物と新品では色が違うということです。 「白だから部分的に塩素漂白しても大丈夫だろ」なんて思っていても、いざ乾かしてみたら「あれ?ここだけ色が白い?」なんて事があります。
しかも塩素漂白の怖い所。
「色をのせられない」という点。
いざクリーニング屋さんに「助けて~」ってしても、そう簡単な話ではなくて(笑)
塩素による漂白は中心から外側に向けて効果が薄くなっていくわけですが…その縁部分は中心部分とも生地の元の色の部分とも色が違います。
なんなら元の生地より色が濃くなっていることもあります。 これが全部なんの柄もない真っ白のTシャツ(綿やポリエステル)なら、全体を改めて塩素漂白することである程度問題ないのですが、「部分的に白」の場合は、もうやりようがなくなってしまうんですね…
それこそ、一度全部の縫い目をほどいて白部分のみ漂白して再度縫製する方法くらいしかないです。
一応ごまかす程度の色かけで目立たなくさせられたとしても、これは一時的でしかないですし、正直キレイに仕上がらないです。
塩素漂白は「生地を傷めるリスク」も高いので、安易に塩素漂白すると取り返しがつかなくなるので要注意です。
塩素漂白は脱色と脆化のリスク大!
【アルコール消毒液でバッグがベッタベタに】
「礼服用のバッグを久しぶりに出したらカビが生えていた。消毒も兼ねて、アルコールスプレーで拭いたらベタベタになってしまった」
これも実は結構あるあるなパターンです。 私の働いていたクリーニング店ではバッグのお手入れもしておりました(私のメインのお仕事)。
一番に多いのが「久しぶりに出したらカビていた」 という物。
カビだから除菌しなきゃ!っていう気持ちはよくわかります。 しかし、バッグや衣類にも言える事ですが、アルコールにより化学反応を起こす素材があります。
そもそもアルコールは有機溶剤とよばれる物。 その有機溶剤によって化学反応を起こしやすい素材が「合成皮革」です。
合成皮革は本革に比べて安価であるため、衣類やバッグによく使われていますが、アルコールで拭いたりすると、表面の塗装が剥がれたり、化学反応をおこしてベタベタになったりすることがあります。

また、革にもアルコールは使ってはいけません。 これは銀面やスェードにもよって多少の差はありますが、基本的には革の劣化をすすめてしまう為使用するのはやめましょう。
(合皮に関しては経年劣化によるべたつきなども考えられますので、プロに相談するのが一番です)
いちどアルコールによって化学反応を起こしてしまうと、素材が変質してしまっているため修復は不可能になります。 合皮や革の色かけなら出来る場所もありますので、万が一なってしまった場合は信用できるクリーニング店に相談することをおすすめします。
アルコールと合皮は化学反応を起こしてトラブルの元になりやすい!
【マニキュアを落とそうと除光液を使ったら穴があいた!】
衣類についてしまったマニキュアを落とす方法。 なんて調べると真っ先に出てくる【除光液、アセトンでのシミ抜き方法】
もちろん、マニキュアには除光液やアセトンは効果があります。ただ、衣類の素材によってはとんでもないトラブルになる事も…

アセトンによるマニキュアのシミ抜きは、家庭でできなくはないですが正直おすすめしません。
なぜなら、プロのシミ抜き用の機械と違い、家庭ではそのシミがさらに広がってしまう恐れが高いからです。
プロのシミ抜き台にはバキュームが備わっており、シミを広げない工夫がされていたりします。 とくにマニキュアは簡単に取れないものなため、家庭ではやめておくべきというのが本音です。
それでも家でやる!という方に注意点です。 それは衣類の素材。
除光液やアセトンは合成繊維であるアセテートやトリアセテート、アクリルは絶対に使用禁止です。 ガビガビになったり溶けて穴があいてしまいます。 ナイロンも溶ける可能性があり、素材の事をよく知らずに使ってしまうと一生着れなくなってしまう恐れがあります。
必ず洗濯表示をチェックするようにしましょう!
溶けたり硬くなったりする繊維に注意!
おまけ【白のTシャツがピンクに!塩素漂白と日焼け止め】

「襟の黄ばみを取ろうと塩素漂白したらピンクになったんです」
これも結構よくあるご相談の一つでした。 はじめは何でピンクに???と思っておりました。 なんせ塩素漂白ですから、脱色のイメージが強い。
試行錯誤のシミ抜きの結果、この原因が「日焼け止め」であることが判明しました。 日焼け止めが通常の洗濯では残ってしまい、それが塩素と化学反応をおこしてピンクになっていたわけです。
多くの方が「柔軟剤の色がうつった」とおっしゃって持ち込まれますが、昨今の柔軟剤でそういった事はほぼ起こりません。(使い方を守れば)
最近では日焼け止めに注意文がかかれているものも増えてきましたが、正直あの小さい文字を見ている方はどのくらいいらっしゃるのか…(笑)
ただ今回の事例は、ちゃんと綺麗に落とせますので、もしなってしまった場合はクリーニング屋さんに相談しましょう!
塩素で生地が脆化してない限りは問題ありません!
自分でシミ抜きする時の注意点
じゃあどうやったら家庭で安全にシミ抜きでるの?と思いますよね。シミ抜きって、ちょっと医療と似てます。
頭が痛い→頭痛薬 腹痛→整腸剤や下痢止め 鼻炎→鼻炎薬
こんな感じで、使う薬品は症状によって違いますよね?シミも同じです。
ドロ汚れ→油汚れとタンパク質 血液→タンパク質 インク→油性汚れ
こんな感じで、的確な薬品を使う必要があります。
そして病院で処方される時、アレルギーや年齢、持病や常用薬についてもきかれますよね。これはその「人」に使っていいお薬か、適切な量かを判断する為に必要です。
洋服も同じで、「どんな素材」「どんな症状」「どんな色」など、その「お洋服」に使っていいお薬かを知ることが大切です。
同じ素材、同じシミの種類でも、時間が経っているシミなら落ちにくかったり…劣化によって生地が傷む可能性もあります。
なかなか判断が難しいとは思いますが、まずはその衣類に使っても問題ないか、目立たない部分でテストするのが良いかと思います。
詳しい内容はまた後日お話出来ればと思います☺️
シミ抜きは化学なので、素材と薬品、シミの種類が大切!
まとめ

今回は家庭でありがちなシミ抜き失敗例3選でしたが、いかがでしたでしょうか?
本当はもっと沢山あるんですが…今回は本当に取り返しがつかなくなるものに絞ってご紹介させて頂きました。
もう、極論を言えば「シミ抜きはプロに任せる」に尽きますが、なかなかそれも難しい場合もありますからね!
ご自宅でシミ抜きする場合は必ず「素材」と「シミの種類」、「薬品が正しいかどうか」をチェックしましょう!
あとこれだけは声を大に伝えたい。 「塩素漂白」は本当によく考えて使用しましょう!
皆様のちょっとした人生の参考になれたら幸いです☺️
またクリーニング屋さんについてや、趣味の事なども書いていこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします😺