名もなき手帳

売れないと言われても、手放せなかった物

 年末に、【売れない文章】と言われて、それでも壊せなかった話。

 正直にショックを受けて、真正面からぶち当たって、そのまま崩れ落ちる、というよりも目の前の道が崩されたような気持ちになった。

 それまでもフォローしてもらっていたし、違和感や直すべき場所などを指摘してもらいながら、文章を形にしてきたからこそ、

「なんで今までそれを言わなかった」という気持ちに押しつぶされた。

 まさかの、【売れない】という言葉以上に、【いままで嘘をつかれていた可能性】に打ちひしがれた。

 信じていたのに、みたいな、勝手な思い込み。

 そうなると、私の悪い癖が出てくる。

 その道が無理なら、完全に壊しきりたくなる。

 希望を欠片すら残さないまでに、何もかもを崩し切り、更地にして形の無い状態になるまで、自分でひたすらに壊し続ける。

 これは、昔からある癖。

 期待するから、裏切られたと感じるものだから。

 欠片も残してはいけない。そう、思う事で、後の自分が傷つかないようにする方法。

 お前に価値は無い。

 お前には文才が無い。

 お前のそれは独りよがりの自慰行為に等しい。

 踊らされていただけ。

 しかも質が悪いことに、それを選んだのもお前なのだ。

 だから、お前が何もかも悪い。

 

 そうしてひたすら傷を開いて、抉って、何もかもを壊そうとした。

 結局、壊せなかった。

 それでも、諦めきれなかった。

 苦しいまま、ぐちゃぐちゃなまま、そこに立つしかなかった。

 そして今更と分かりながらも、私は今、構造を学んでいる。

 本来とは、逆ルート、らしい。

 普通は構造や技術を学んで、自身の美学をそこに乗せていくのだそう。

 私は、その真逆からきてしまった。

 美学が先。

 滲んでしまう物。 そのせいで、読者は置いて行かれてしまうのだ、と。

 

 だから、改めて、構造を学んでいる。

 やり進めて今、自分の作品への向き合い方が大きく変わったように思う。

 それが、どこか、寂しさと不安を滲ませてくる。

息がつまるような、胸が軋むような。

何かが掌を離れていく感覚に、指先が冷えていく感覚。

今までの自分の文章は、二度と書けない。 そう感じるから。

 いいとか、悪いとか。

 

 そう判断される前の、コアみたいなもの。

 それが、削られているように見えるから。

 それでも、私はこのままではいられない。

 夢の道は、崩れたようで、まだ続いているから。

 だから、私は今日も、小説を書く。

 文章を書く。

 ひたすらに。

 淡々と。

 来たるべき未来の為に。

悠生 朔也

こんにちは、綴り手の悠生 朔也(ゆうき さくや)と申します。 日々の中でふと零れ落ちた感情や、 言葉になりきらなかった風景を、ひとつひとつ、そっとすくい上げています。 この場所では、そんな断片たちを形にして作られた物語たちを飾っています。 完成や正解ではなく、ただ「そこに在る」。 その静かな揺らぎを、誰かと分かち合えたら嬉しいです。

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