名もなき手帳

寝て見る、もう一つの日常

いつものショッピングモールを抜けたら、そこは母校だった。

翌日は、一度もいった事のないはずの、でも何度も行ったことのある場所。

そのまた翌日は、エレベーターに押しつぶされていた。

―― これは、私が「寝てみる、もう一つの日常」を記録したもの。

 

 私はほぼ毎日夢を見る。

 それこそ、小さい頃から、夢をよく見ていた。

 中学の3年間は、日記と共に、見た夢を書き残したりもしていた。

 どれくらいの頻度か?といえば、ほぼ毎日見ている。

 面白かった夢は今でも覚えているし、どうってことない夢でも、思い出そうとすれば一昨日の夕飯程度には記憶に残っている。

 ショッピングモールの中で、友人と買い物をしていた。

 急なサイレンと、アナウンスが『Zコールです。直ちに非難して下さい!』とまくしたて、店内の人々が我先にエスカレーターや階段を下りていく。

 私と友人はたまたまエレベーターに乗っており、ぎゅうぎゅうに乗った状態で一階にたどりついた。

 チン、と音が鳴ったと同時にエレベーターの扉が開くと、

そこには高校の昇降口が広がっていた(笑)

 何故か学校にはゾンビがいて(Zコール⇒どうやらゾンビコールらしい)、友人と二人武器もなくひたすらに逃げていくのだが、何故か掃除用具入れにバイオハザードの追跡者が潜んでいた。(絶対スペース的に無理)

 ここからご都合主義。 追跡者に説得を試みる私。

 何故か仲良くなって、追跡者にゾンビを倒してもらいながら他の友人(いたのか)を助けて回る。 

 夢は、ここで終わりだった。

 ある時はとんでもない夢も見ていた。

 某有名なネズミのキャラクターの彼女ネズミが、チェンソーを片手に振り回しているのだ。(私は彼女が、少し怖い)

 真っ赤な照明の部屋と狭い通路しかない空間。 遠くで、某有名なアヒルのキャラクターの悲鳴が響き、チェンソーの音が何かを切断する音がする。 それはゆっくりと、こちらに近づいてくる。

 どうにか逃げなくてはならないと、彷徨った先に少し高い段差を見つけ(ご都合主義)そこに逃げると、大きな金属製のブーメランがあった。

 私は思う。

―― ドナ○ド、お前の仇は、必ずうってやる…!

 赤に白のドット柄のスカートをひらひらと遊ばせながら、彼女はスキップしてこちらに向かってきた。 私には気が付いていない。 今しかない。

 振り回したブーメランは弧を描いて彼女の首に向かっていった。

 あえてここから先は明記はしないが、とにかくリアルな描写だったとだけ書いておく。

(とても私らしい)

 なんてことはない断片的なものも多い。

 これは不思議な事だけれど、今まで引っ越した先の部屋は、どれも先に夢で見ているものしかない。

 間取り、家具、服装に季節、風景。 全て同じ瞬間が、フッと思い出すように重なる。

 友人の引っ越し先もみたことがある。

 この夢の話はとくに面白い訳でもない断片的なので、誰かに話すことがない。 その為、残念ながら証拠みたいなものは無い。

 やたらリアルに死ぬこともある。

 決まってそれは、エレベーター。

 気が付いた時には、狭い空間にいる。 見上げると、エレベーターが下りてくる。

 あ、と思う間もなく、圧迫されていくからだ。

 痛い、苦しい、熱い、寒い、そしてそのあとに、視覚がかすれて、最後まで音だけが残る。 その音がザワザワと、そしてプツリと途切れて私は何も感じないどこかで思う。

「あ、これが死ぬってことなんだ」

 最近は見る事がなくなったが、幼いころからよく見ていた夢だった。 不思議なのは、この夢を何度も見ていても、怖いとは思っていなかったこと。

 どこか、“死んでも自分という存在が消えていないこと”に安堵していたようにも思う。

 

 最近も変わらずよく夢を見ている。

 美味しいもの食べてたり、昔の友人と知らない遊園地にいたり、母と買い物していたり、それこそ妄想の再現なんてものもある。

 

 

 映画の影響を受けたり、意味不明な展開がまかり通ったり。

 不思議な乗り物や、木製の自販機が出てきたり。

 自分の知らない、想像の世界の断片を見られるような気がする。

 だから私は、寝る前がすごく楽しみなのだ。

悠生 朔也

こんにちは、綴り手の悠生 朔也(ゆうき さくや)と申します。 日々の中でふと零れ落ちた感情や、 言葉になりきらなかった風景を、ひとつひとつ、そっとすくい上げています。 この場所では、そんな断片たちを形にして作られた物語たちを飾っています。 完成や正解ではなく、ただ「そこに在る」。 その静かな揺らぎを、誰かと分かち合えたら嬉しいです。

-名もなき手帳
-, , ,