名もなき手帳

人体実験:1か月目

 「成功」か「失敗」かの二択はもう疲れた。

 だから私は、自分の体を実験台にすることにした。

 

 私は昔から太っていた。

 それこそ、恐らく小学生の時には普通よりもふくよかであったし、成人してからはさらに太った。

 

 若いころは簡単なダイエットで体重は落ちてくれていたが、年齢を重ねるにつれて落ちなくなっていった。

 なんなら、ダイエットをやりすぎて、気持ちのどこかに

「またどうせ失敗する」

「長続きしないだろうな」

 という、マイナスイメージがこびりついているせいか、

ダイエットをする事自体が、どこかバカバカしいとすら思うようになった。

 でも、気持ちとしては、健康な肉体でありたいと思う。

 好きな洋服を着て、人に笑われないようにしたい。

 知らない人にバカにされたり、ヒソヒソとこちらを見ながらにやつかれるような、そんな体験はしたくはないわけで……

 (やるやつがおかしいとは思うけど、そういうやつは言っても理解できないだろうからな)

 誰かが制御すれば続けられる可能性もある。

 でも、コンプレックスの塊である私は、ジムなんて人目のあるところで動くなんて絶対に嫌だ。

 ジムなんて、殆どの人が標準体型じゃないか。

 入った瞬間の、あのアウェイ感と視線を一度浴びたことがあるが、もう二度と行かないと心に誓ったくらいだった。

 外を歩くのも、「あの人運動してるwww」と思われるのが怖い。

 夜中に歩けばいいのだが、治安の不安もあるし、なにより長続きするとは思えない。

 で、始めたのが【人体実験】だった。

 やることはダイエットと変わらない。

 運動と、食事制限、水分補給と睡眠。

 じゃあ、何が違うの?っていうと、

【目標】がないこと。

 どうしても、目標を立ててしまうと「成功」と「失敗」が見えてしまい、

「あぁ、また失敗した」と、落ち込むことがある。

 今までのダイエットで、挫折したのはこの部分だ。

 でも、この人体実験は、

【実験】なので、【結果】しかない。

 こんなことしてみたら、こうなった。

 それだけ。

 そこに、失敗はない。 あるのはただの、結果のみ。

 だから、体重が減っても減らなくても、別に失敗にはならない。

 なんなら、体の変化を見ると、僅かに違いが出ていたりする。

 階段が楽に感じるようになった。

 肌のはりが変わった。

 顔色が明るくなった。

 些細な事かも知れないが、これはこの実験の「結果」が出ているという事になる。

 今までほとんどのことが長続きしなかった私が、

 人体実験は一か月を簡単にこなしている。

 (別に人体実験と呼ぶ必要はないのだけれど、これは私のモチベーションを上げる為だけです。)

 結果はマイナス4キロ。

 どうやら私には、【人体実験】があっていたらしい。

 (以下実験内容を一応明記しておきます~)

【実験内容】

・スクワット20回×2

・プランク 20秒

・スキンケア 朝夕2回

・小顔ベルト 20分

・水分(ゴボウ茶と麦茶) 1.5ℓ

・睡眠時間 7時間~8時間

・一日2食で、1回目はオートミールメニュー

【補足】

・夕飯は普通に食べる

・多くは取らないが、デザートも普通に食べてる

・自宅ニートの為、それ以外はたいして動いてない

・買い物は週に2回、どちらも徒歩30分以内

・家事は運動レベルのものはしていない

・ほぼシャワーのみだが、週に2回ほど湯船につかる

【オートミールメニュー】

・豆乳ヨーグルト 100g

・豆乳 200cc

・ラカント 15g

・塩、バニラエッセンス、シナモン 少々

・冷凍ブルーベリー 10粒

・オートミール 50g

(だいたいのカロリーが360くらいかな?)

悠生 朔也

こんにちは、綴り手の悠生 朔也(ゆうき さくや)と申します。 日々の中でふと零れ落ちた感情や、 言葉になりきらなかった風景を、ひとつひとつ、そっとすくい上げています。 この場所では、そんな断片たちを形にして作られた物語たちを飾っています。 完成や正解ではなく、ただ「そこに在る」。 その静かな揺らぎを、誰かと分かち合えたら嬉しいです。

-名もなき手帳
-, ,