名もなき手帳

SE7EN 綺麗事では終わらない世界

自分の好きな映画の一つ【セブン】を語りたい。

 有名作品だし、個人的に好きな俳優さんであるモーガン・フリーマンも出ていて、私的には神作品の一つです。

 ざっと簡単にあらすじ。

 ベテラン刑事のサマセット(モーガン・フリーマン)と、新米刑事のミルズ(ブラット・ピット)の二人が、連続殺人の事件を追うお話。
 犯人は、七つの大罪を題材に、殺人を繰り返している。 彼らは果たして犯人を捕まえて、この犯行を止める事が出来るのか。
 そして、犯人の目的は何なのか?

 ざっと、こんな内容です。
 ここからは、ネタバレありなので、未視聴の方は、必ず観てから!読んでくださいね!
 伝えましたよ? 観てね!! ホラーサスペンスグロが苦手で見れないし、ネタバレ歓迎の方、視聴済の方はこのまま進んでください。

【とにかく、ツボ】

 いやもうね、私の好みの展開しかないんです。 人間らしいと言いますか、リアルな世界は綺麗事だけじゃないよね。 っていう。
 ジョン・ドゥの犯行理由も、盲目的なまでの正義感も、狂気も、全部が最高としか言えない。 語彙力なくて申し訳ないけれど、本当に最高なんですよ。
 シリアルキラーとか、数ある殺人犯を作品を通してみてきましたけれど、彼の美学は一貫している。 劇場型ともとれる行動と、承認欲求のようにも見えるけれど、その実は「彼の正義感」と「人間社会への警鐘」でしかない。
 「きれいごと」はあくまで、「部外者」だから言える事で、当事者になったら、そうはいかないよね、という。
 それを、最後の最後に突き付けてくる。

 ジョン・ドゥは、賭けに勝つことになる。

 あの、表情も、空気感も、何もかもがこの映画をリアルにさせてると思う。

 視聴者は、あくまで他人でしかない。
 でも、ここで是非とも、キャラに入り込んでみて欲しい。

 定番に、ミゲルならどうだろう?
 私なら、真っ先に撃つ。 悩まない(笑)。 何故なら、私は人間を悪意と善意の両方で出来た獣だと思っている。 自分にも、ジョン・ドゥの思考があると思っているから。 だからきっと、あの状況になった私は、迷わずに引き金を引くだろう。
 大切な物を奪われて、泣き寝入りなんてしてられっか。 罪も背負って生きていく。

 次に、サマセットだ。
 彼の場合、どうだろうか?
 なかなか難しい。 ミゲルを止めたい気持ちは、刑事であり理性であり、法である。 被害者を出さない事も、ジョン・ドゥに話を聞かなければいけない事もある。 それでいて、ミゲルの気持ちも理解している。
 きっと私なら、ずるい事を言う気がする。
「解決したいなら、殺すな。 お前の感情が辛いなら、殺せばいい」
 その後の結末に、よりそう覚悟を持って、そう告げると思う。

 さて、いよいよ、お楽しみのジョン・ドゥだ。
 ここは非常に楽しい状況になる。
 捕まったなら、命はある。 計画を続行する可能性だってある。 それは、勝ち筋の一つだ。 ミゲルがダメでも、罪人(代わり)はいくらでもいる。
 そして、ミゲルに撃たれたなら、それは犯行の完成を意味する。 彼が手を汚し、自らも罪の形として。 これも、勝ち筋だ。
 ようするに、ジョン・ドゥは、どう転がっても勝利につながる。 ミゲルの苦悩を、どこか楽しむように見ることが出来る。 そして、自分の考えが正しかったと、恍惚と笑みを浮かべる。
 私もきっと、笑うと思う。
 さぁ、お前にも罪はある。 どうだ? キレイゴト、言ってみろよ、と。


 さて、私個人としては、オススメはジョン・ドゥの視線で見ることだったりする。 何故彼はこんなことをしたのか。 犯行現場は作品としてしか見る事はないが、実際の行動を起こしている時の感情はどうだったのか。
 紐解いていくだけでも、面白い。


 私自身、所謂ヴィランが好き。 美学のある、悪役ほど魅力的なものは無いと思っているくらい、悪役が好き。
 好きなキャラに感情移入しやすい傾向があるので、自然と犯人側にリンクして作品をみる事が多い。
 でも、セブンに関しては、各キャラそれぞれの葛藤があって、何度も楽しめる作品だと思う。
 悪の美学も、人間の理性も、綺麗事だけじゃない世界も、視点を変えるだけで楽しめる。

 是非とも、色んなキャラの視点で楽しんでみてもらいたい。 
 監督の視線とかも面白いですよ~。

 感想に間違いはないし、色んな見方や解釈があることが良いなって思うので、こんな風に思った! とか、良かったら教えて下さいね!
 このキャラに一番共感できた!とかでも。 ぜひぜひ。

 ちなみに、私が一番共感できたのはミゲル刑事です。(前半はサマセット寄りだけど)
 仕方ないよ、あれは撃つって。
 なんなら我慢しただけ偉いよ、アンタ。 私は潔く引き金ひいちゃうもん(笑)

悠生 朔也

こんにちは、綴り手の悠生 朔也(ゆうき さくや)と申します。 日々の中でふと零れ落ちた感情や、 言葉になりきらなかった風景を、ひとつひとつ、そっとすくい上げています。 この場所では、そんな断片たちを形にして作られた物語たちを飾っています。 完成や正解ではなく、ただ「そこに在る」。 その静かな揺らぎを、誰かと分かち合えたら嬉しいです。

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