悠生 朔也

こんにちは、綴り手の悠生 朔也(ゆうき さくや)と申します。 日々の中でふと零れ落ちた感情や、 言葉になりきらなかった風景を、ひとつひとつ、そっとすくい上げています。 この場所では、そんな断片たちを形にして作られた物語たちを飾っています。 完成や正解ではなく、ただ「そこに在る」。 その静かな揺らぎを、誰かと分かち合えたら嬉しいです。

寝て見る、もう一つの日常

2025/9/10    , , ,

いつものショッピングモールを抜けたら、そこは母校だった。 翌日は、一度もいった事のないはずの、でも何度も行ったことのある場所。 そのまた翌日は、エレベーターに押しつぶされていた。 ―― これは、私が「 ...

静脈に咲く ― クロユリの芽吹き ―

 養親の二人が亡くなったのは、鷹村涼が十五歳の時だった。 もとより病気がちであった母(といっても、年齢は八十を過ぎている)が亡くなり、それから数か月後の冬に、父が他界した。  莫大なお金と土地は、実子 ...

手相と「まぁ、いっか」

「この手相がある人は、波乱万丈な人生を送ると言われてます」  これは、私が手相を見てもらった時の、先生の言葉。 右手と左手の手相が全く違うのも、なかなか珍しいらしいとの事だった。  といっても、有名な ...

紫陽花の道

 ふ、と目を覚ます。  どうやら、うたたねをしてしまっていたようだった。  開かれた窓から、暖かな日差しと、雨に濡れたクチナシの香りが髪を撫でていく。  ライトグレーのソファは、最近お気に入りの場所。 ...

グラデーションに生きる

2025/8/26    , ,

「前向きな考えでいいね」 と、人に言われるたびに、自分のどこかが手招きする感覚がある。 人間の皮を被った、その内側にある自分が、 「そんなことない。 安心するのは、そこじゃない」と、笑う感じ。  外で ...

くちなしの午後

 講義中に、何度もノートの隅を赤で埋めた。    落ち着いた線で囲って、少しだけ歪ませる。 昨晩の夜の、赤をなぞるように。  横に切り裂いて、ほとばしる熱で円を描いて、流れる音楽のようにゆるやかに弧を ...

無意識の刷り込みが奪うもの

「わ、芋虫のフィギュアだって、気持ち悪い」  先日、なんとなく立ち寄ったガチャガチャコーナーでの、ある母親の一言。  男の子と、お父さんと、お母さんの三人で来ているようだった。  男の子は、芋虫や、爬 ...

笑うダリア

2025/8/12  

雨上がりの夜は、ひときわ、静かだった。  外灯の灯が濡れたアスファルトに揺れる。  一つの絵画を完成させた帰り道なのに、胸の中は空っぽのままだ。 まるで、晴れきらない曇り空。 ―― 何を加えても、あの ...

葛藤と肉体と醜悪

「やればできる」は、誰の為の言葉だろう。私はずっと、「できない側」に居た。これは、その場所から見た、世界の記録。 昔から、ずっと私は醜悪だ。 通り過ぎる人も、バスや電車や、お店や道路。 行き交う人の中 ...

静脈に咲く花 ― アザレアの標本 ―

 ※こちらの作品は、男性同士の恋愛を含んでいます。 また、静けさの奥に潜む痛みに触れる物語です。誰かの輪郭が、過去の陰によって形作られているかもしれません。 読まれる方の心が穏やかである時にそっとお開 ...